年金制度説明会に出てみた

北見の年金事務所から会社宛てに「年金制度説明会」の案内が来た。東京にいた時には、経理担当、給与担当の社員がいて、自分で手続きをすることもなく、正直のところ仕組みもよくわかっていなかった。人事のコンサルタントってことで、その辺りは詳しいだろうとよく相談も受けるんだけど、自分がやってきたことは「組織の変革」なので、手続き関係は皆目分からず。北見に移住して一人になり、誰かに任せるわけにもいかなくなり、シコシコ自分でやるようになった。今回の説明会は、会社の手続きの担当者向けだというので、行ってみた。

分厚い資料におののく

まずもって、テーブルに置いてある説明会資料の分厚さにおののく。
冊子が3冊に、追加の薄い資料が3~4種類あったかな。
冊子3冊のページを合計すると、70ページ弱。うわあ、これを60分で説明するのかあ。
きっと、ところどころかいつまんでの説明なんだろうなあ、と漠然と思っていたのだが。

「課長さん」という方が出て来て、制度の内容にダイレクトではない「マイナンバーカードの健康保険証への移行関係(補足資料)」という資料の説明を始めた。年金制度の本編は、部下の若手社員がやるらしい。
ペラ1の資料なのであるが、この説明が実に丁寧なのである。
資料に記載されていることを、かいつまむことは一切なく、プラスαの説明を加えながら懇切丁寧なるご説明。

「では、ここからは担当者から・・」と、終了し担当者が登場した時点で20分が経過。
70ページの資料の説明を残り40分で理解しなくてはならない状況である。
計算すると、1分で1.75ページのペースである。
僕は、少しドキドキしながら、ご担当者の説明の開始を待つ。

驚異の棒読み

ご挨拶もそこそこに、ご担当者の説明が始まる。
結論から言うと、70ページ弱の本編資料と、別途資料の「オンライン年金情報サービス」の概要説明まで、このご担当者は説明仕切ったのである。しかも、端折ることなしにである。
しかも、しかもである。14時から始まって60分の予定の説明会は、なんと15時1分前に余裕で終了したのである。

これはある意味驚異であるが、なぜそれができたのかというと、ご担当者のご説明は、資料に書いていないことの追加説明は一切なし、アドリブも一切なし、おまけに質疑応答も一切なし、の三無し。
そして、ご説明は、驚異の資料の棒読みなのであった。

「説明会」の参加者は、自分を入れて6名のこじんまりとしたもの。
単身と二人組の女性が二組。そして僕のようなおじさんが3人という構成。
一番前に座ったので、全体は分からなかったが、隣の一人のおじさんは、何度となく睡眠状態に陥り、必死に耐えている様子が見て取れた。

今野の感想

この説明会を終えて、自分が感じた感想は、意外に好意的なものだった。
とても興味深い説明会だったんだ。
・予定時間に1分を残して、予告通りに説明会を終えている
・棒読みはともかく、予定の時間に資料のすべてに触れて、説明会でやるべきことをやっている
・課長と、担当者の役割分担ができている
・本編の資料は、実に分かりやすく読んだだけで理解できるようなできである
・棒読みを批判する気になれないほど、説明したご担当者が、とても誠実そうな方だった

最も感心したのは、資料の完成度の高さだった。
これはたぶん、何年も積み重ねてきた技の集大成なんであろう。
年金事務所を出る時には、清々しい気持ちになっていて、こうしたイベントというのは不思議なものだなと思った。
肝心の説明部分が資料の棒読みで、決して褒められたものではないのにである。

勉強はしないとね

年金事務所の「説明会」の内容については、ともかくとして、説明会に参加して実によかった。
「なるほど、こういうルールの下で手続きしてたのかあ」
「〇〇〇(言葉)って、こういう意味だったのかあ」
と、知らないことが多くて(ほんとは知ってなくてはいけなかったんだけど)で、目から鱗状態。
自分を取り巻く事柄の基本的なことをあらためて学ぶのは悪くない。

オフィスに戻って来て、年金事務所のサイトを見てみて驚いたことがある。
説明会で分厚い冊子で配られた資料が、なんとPDFでダウンロードできるようになっているではないか。
あらら~、サイトで入手できるんだったら、「棒読み」で「質疑応答のない」説明会は意味がなかったかも、という落ちのような話。
まあ、そうは言うものの、ダウンロードできて読めばわかるとは言っても、果たして自分でそれを読んで学ぶ行為をしたかというと・・・・。

やっぱり説明会には参加してよかったな。


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