はじめに:会社の主役は誰か?
強い組織とそうでない組織の違いは、一体どこにあるのでしょうか。
その決定的な違いは、社員一人ひとりの「当事者意識」にあります。
社員が「会社に雇われている」という感覚を超え、「自分たちの会社だ(Our Company)」、さらには「自分の会社だ(My Company)」と思える組織になれば、社員自身の働く喜びや成長につながるだけでなく、経営者にとっても最高に心強い状態となります。まさに、社員にとっても経営者にとっても「HAPPYな関係」です。
そして、社員にそう思ってもらえるかどうか——そのカギは、実はすべて「経営者(あなた)」が握っています。
今回は、社員の当事者意識を引き出し、最強の組織をつくるためのメカニズムと具体的なステップをご紹介します。
第1章:まずは土台となる「Our Company(自分たちの会社)」をつくる4つの実践
社員が「ここは自分たちの会社だ」と感じられる(Our Company)状態をつくるためには、経営者が意識的に仕組みを整える必要があります。そのための4つの柱がこちらです。
1. いつも「開いている」経営者(経営情報の完全共有)
情報が閉ざされた部屋で、主役意識を持つことは不可能です。いい情報も悪い情報もオープンにすることから始まります。
- 情報のオープン化: 財務状況、経営課題、成功・失敗の要因を全社で可能な限り共有する。
- 「なぜ(Why)」の共有: 決定事項だけでなく「なぜそれを行うのか」という背景や意図を丁寧に伝え、社長と新入社員の理解度のギャップをなくす。
- フラットな対話: タウンホールミーティングなどを活用し、現場と経営陣が直接意見を交わせる場を日常的に設ける。
2. 裁量権と影響力(自ら決め、形にする経験)
人は「指示されたこと」には作業者として対応しますが、「自分で決めたこと」には本気になります。
- 自己決定の機会: 目標設定やプロセスの決定において個人の裁量を大きく認め、「自分たちで決めた」という感覚を持たせる。
- 挑戦の仕組みと心理的安全性の確保: アイデアを形にできる公募制度などを整え、失敗を責めるのではなく「学び(ラーニング)」として称賛する。
3. 経済的・精神的な「分かち合い」
会社の成長が、自分自身の豊かさや成長に直結している実感を提供します。
- 成果の還元: 業績に応じたインセンティブや持株会などを通じ、成長の果実を分かち合う。
- 存在価値の承認: 「あなたのおかげで会社が成り立っている」という感謝と評価を言葉と仕組みで伝え、社内にヒーロー・ヒロインを増やす。
4. 部門を超えた「つながり」の実感
一人で戦っている感覚(孤独感)をなくす仕掛けをつくります。全社ミーティングや部門間でお互いを称え合い、支援し合える仕組みを整えることで、組織全体の一体感を高めます。
第2章:「Our Company」のその先へ。「My Company」という圧倒的当事者意識
「Our Company」というチームとしての一体感ができたら、さらにその先を目指しましょう。それが、社員一人ひとりが会社を「My Company(自分の会社)」と捉えるステージです。
- Our Company(みんなの会社): 「仲間とともに働く良いチーム」という感覚
- My Company(自分の会社): 「この会社は自分の人生の舞台であり、自分が舵を握っている」という感覚
「My Company」の域に達した社員は、指示を待つことなく、すべての課題を自分事として捉えて自ら突破口を開いていきます。
そして、社員に「My Company」だと思ってもらうための最大のカギは、「社員が社長のことをどれだけ知っていて、愛着を持っているか」にかかっています。
第3章:社員の「My Company」意識は「社長を知る」ことから始まる
かつて私たちが提供していた研修プログラム『コロンブスの5STEP』のSTEP1に、「艦長のDNA」というものがありました。
荒波を進む船において、乗組員が最も信頼し知らなければならないのは、「艦長(社長)がどんな人間で、何を大切にし、どこへ向かおうとしているのか」です。
「艦長のDNA」の具体的なステップ
- 社長の価値観、人生の軌跡、会社への想いをまとめた小冊子(社長の解体新書)を全員で読み込む。
- グループで感想や感じたことを語り合う。
- 最後に、社長本人に直接質疑応答・対話を行う。
このプロセスを経ることで、「遠い存在」だった社長が「同じ船に乗る一人の人間」として見えてきます。 「経営者を知り、共感すること」こそが、会社そのものへの深い愛着と「My Company」という意識を生み出す第一歩なのです。
第4章:経営者への問い。あなたは社員に「選ばれ、愛される社長」になれているか?
哲学者エーリッヒ・フロムは、「愛することは知ることから始まる」と言いました。
社員が自発的に経営者や会社を知ろうとする姿勢も大切ですが、それ以上に経営者自身が「自分を知ってもらう努力」をしているかどうかが問われます。
経営者が自分を開示せず、社員と向き合わなければ、社員が会社を「My Company」と思えるはずがありません。
ここで、組織の当事者意識を阻害してしまう「社員から愛されない社長」の3つの特徴を振り返ってみましょう。
❌ 愛されない社長の3つの特徴
- 「否定から入る」社長 対話の場で「そうじゃなくて…」と反射的に否定する。これでは社員は心を閉ざしてしまいます。
- 「自分ばかり話している」社長 聴くために設けた時間のはずが、気づけば自分が8割話している。これでは信頼関係は育ちません。
- 「この会社は」と他人事のように言う社長 社長自身が会社を「My Company」だと思っていない態度は、社員に確実に見透かされます。
おわりに:経営者の変化が、組織の「HAPPY」をつくる
社員に「当事者意識を持て」と口頭で求めるだけでは、組織は変わりません。
- 社長自身が自社の未来を心から愛していること
- オープンに自分を開示し、経営情報や想いを共有すること
- 社員の声に真摯に耳を傾け、共に歩む姿勢を見せること
経営者がこの姿勢を示し続けることこそが、社員の中に「My Company」のスイッチを入れ、どんな困難も乗り越えられる最強のチームをつくる一番の特効薬です。
社員が生き生きと働き、経営者も心強いパートナーを得られる。そんな理想的な組織を目指して、まずは社長であるあなたから、自分と会社を開放してみませんか?
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本テーマについて、YouTubeチャンネル(今野誠一の“組織のテレビ”)でも話しています。
ぜひご覧ください。







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